自然回帰の家づくり

千葉工務店が、とことん自然素材にこだわってつくりあげる住まい「自然回帰の家」。今回は、千葉工務店代表の千葉弘幸氏にインタビューを行い、「自然回帰の家」のコンセプトから誕生秘話まで語ってもらいました。

千葉工務店代表・千葉弘幸氏インタビュー

インタビュアー(以下、H): まずは、「自然回帰の家」のコンセプトをお聞かせください。

千葉弘幸氏(以下、千葉さん): 一言で言えば「心地よく、美しく、長持ちする家」かな。

H: 「自然回帰の家」は自然素材をふんだんに使っているのが大きな特徴だと聞いていますが、自然素材にこだわる理由は、やはりシックハウスなどの問題があるからでしょうか?

千葉さん: うーん。厳密に言うと、そういうわけじゃないんだよね……。うちが自然素材にこだわる理由は……、まずは時代背景から説明しなきゃいけないんだけど、時間は大丈夫?

H: ええ、もちろんです。

千葉さん: 話は戦後までさかのぼるんだけど、当時の日本の住宅事情は、需要に対する供給の少なさにあったんだ。それを解消するために国はどうしたかと言うと、家をとにかく大量生産した。当然、その過程のなかで工期短縮やコスト削減のために左官とか手間のかかるものはすべて工業化されて、ビニールクロスとか工業製品が建築に使われるようになっていった。しばらくすると、そんな家が満ち溢れて、次は価格競争がはじまるわけ。安かろう悪かろうの建材を使って徹底的にコストダウンを図った。その頃の“不良物件”が、今のシックハウスとか化学物質過敏症、アトピーとかにつながってるんだよね。

H: シックハウス症候群が騒がれ出したのは、ここ数年のことだと思いますが、それまでは症状などは出ていなかったんでしょうか?

千葉さん: シックハウス症候群とか化学物質過敏症っていうのは、1代では出なくて、次の世代になって出ることがほとんどだから、それがちょうど今、問題になってるんだよね。でも、ひと昔前は、シックハウスなんて言葉もなかったし、原因も分かっていなかった。だからうちは、原因と思わしきもの、人体に有害だと思われるものを直感的に探っていって、それをひとつずつ排除していこうと思ったんだ。ビニールクロスにはじまって、合板も使わない、外材もやめよう……。そんなことをしていったら、残ったのは自然素材しかなかった。

H: なるほど……。では、自然素材にこだわっているというよりは、むしろ有害な素材を使わないことにこだわっている、と言ったほうが正しいですね?

千葉さん: そう。少しでも人体に害がありそうなものは家づくりに使いたくないでしょ? そこを突き詰めていったら、結局自然素材しか残らなかった。知らない頃は使ってたよ。でも、知ってしまったら使えない。そういうものを排除していくのがうちの務めだと思ってるし、住む人に正しい知識を伝えることがうちの使命だと思ってる。

H: 世の中の流れ的に見ると、千葉工務店さんの自然素材への取り組みはとても早かったと言えますよね?

千葉さん: そうだね。まだシックハウスがどうとか、自然素材がどうとか誰も言ってない頃からはじめてたからね。そもそも、うちの「自然回帰の家」って「自然素材を使った家」って意味じゃなくて、単純に「ナチュラルに住もうよ」って意味でスタートしたものであって、それを実現するためにまず行ったのが化学物質を排除することだったんだよね。あれも使えない、これも使えない、じゃあ代わりに何を使おうか?って考えながら。昔の古民家と現代の家とを比べて、現代でも取り入れられる技術を使ってみようって土壁を使ってみたり。そうやって試行錯誤を重ねていくうちに「自然回帰の家」ができあがった。だから、「シックハウスに対応している家」をつくってるんじゃなくて、あくまでも「極力有害なものを排除した家」をつくってる。これが、うちの家づくりの核となる考え方なんだ。

H: このホームページをご覧になっている方に伝えたいことはありますか?

千葉さん: うちは、お客さんに対してとことん「説明主義」。それは、お客さんにきちんと納得していただいてから任せてもらいたいし、自分のところでつくる家にはちゃんと責任を持ちたいから。実は自然素材って言っても、防腐剤が含まれているものもたくさんある。だから、使用する建材は徹底的に調査して裏をとるし、もしこの先「実は有害物質が含まれていた」ってものが見つかったのなら、もちろん排除していく。そういう意味では、「自然回帰の家」は常に進化していくものだって言えるかな。でも、根底にある考え方は変わらなくて、やっぱりつくりたいのは「心地よく、美しく、長持ちする家」。この先も、うちの考え方に共感してくれる人と一緒にいい家をつくっていきたいね。

インタビュー後記

インタビューの後半、こんなやりとりがあった。

千葉さん: 「畳って自然素材だと思う?」

H: 「はい」

千葉さん: 「つまり、自然素材だから害はないと?」

H: 「はい」

千葉さん: 「じゃあ、賃貸アパートとかに使われてる畳も安全だよね?」

H: 「……うーん。そうとも言い切れないような……」

千葉さん: 「えーなんで? 言ってること違うじゃん!」

H: 「……」

千葉さん: 「確かに畳は自然素材だよ。でも、実は防腐剤とか有害物質が含まれている畳もたくさんある。同じことがすべての自然素材に言えるんだよ」

たぶん、世の中の多くの方は私と同じ認識ではないだろうか。イメージばかりが先行して誤解していることがあるかもしれない。うわべだけを見て安心していることがあるかもしれない。この話を聞いたとき、「(有害物質が含まれていることを)知ってしまったら使えない」という千葉さんの言葉が重みを増した。

きっと、千葉さんはお客さんと接するときもこんな会話を通じて、私たちが知らない正しい知識を伝えながら、家づくりの揺るぎない信念を語っているんだろう。